天職!トイレにかける物語
No.16 熊本県上益城都/アメニティ熊本(下)

 『アメニティ熊本』を経営しているミスターリースリー(小野塚博社長)は1992年
6月にフランチャイズ(FC)本部であるアメニティ(本社・神奈川県横浜市、山戸里志
社長)と契約を交わし、従来事業のダストコントロール事業の得意先である遊技場を中心
に、順調に新規顧客先を発掘していった。

 しかし、2003年度の年商4800万円をピークに売上高が下降線を辿り始めた。
「要因は、当社の顧客の7割を占める遊技場が法制度の改正で大当たりの確率を落とさざ
るを得なくなり、パチンコ店自体の売上高や利益率が下落。そして経費削減の波に飲まれ
た」とは、ミスターリースリー総務・経理部長の西祐一郎。その後のリーマン・ショック
もあって、現在のアメニティ部門の年商は約3400万円程度だ。
何より件単価が1.5万円から1万円強にまで下がってしまっているのが大きいという。

 そんな苦境にあった頃、アメニティ本部は社員1名を11年7月〜12年6月までの1
年間、ミスターリースリーに出向させて立て直しに奔走。ちょうどそれまでの担当者の退
職などで人材育成が急務だったのだ。
「入社して3年目でアメニティ事業に異動になったばかりの時に本部社員が来てくれた。
最初に倉庫整理をして在庫管理を徹底させたことはいい思い出」とはミスターリースリー
でアメニティ事業専従者の松島明宣係長。

 その後、配管図面の見方や温水洗浄便座の分解方法、内視鏡による配管内部診断などの
技術面から、新規顧客獲得のための“トイレ診断を活用した営業方法”などを、一から教
えてもらったという。
 松島自身の目標は「12年のトイレ診断士1級の筆記試験は受かったのに実技試験がダ
メだったので、今年こそは1級を取ること」だという。
 松島含めアメニティ事業専従者は3人で、今後は、新規顧客の獲得に注力し、月商40
0万円台に戻すのが目標だ。

 松島は「お客様から感謝の気持ちを言葉にしてもらえる仕事で、顧客先から、毎月の
『トイレの定期診断管理報告書』が業績と比例していると言われることも多く、トイレの
きれいな施設は業績も好調と分かると嬉しい」と、アメニティビジネスの将来性を感じな
がら奮闘する毎日だ。

『FRANJA』(フランジャ)76号掲載 2013年9月15日発行

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