天職!トイレにかける物語
No.15 熊本県上益城都/アメニティ熊本(上)

 『アメニティ熊本』を経営しているミスターリースリー(小野塚博社長)には、「ダストコントロール」「トイレの総合メンテナンス」「ビルメンテナンス」の3本の柱がある。

 同社の設立は1990年と20数年前だが、ルーツを辿ると60年以上も遡ることの出来る歴史ある企業。先代の小野塚祐一郎氏が、ヤクルトの創業に携わり、代田研究所九州ヤクルト(後に南九州ヤクルトに商号変更)を、熊本市本山町で創業したのが1927年。
 
その後、ヤクルト事業を続けながら72年には シイタケ種駒工場を新規事業としてスタートさせ、時代のニーズを読みながら81年にはカーペット(絨毯)製造・販売の三宝物産へと業態転換している。

 そして住宅用カーペットでは難しいと判断するや、業務用のダストコントロールマットの製造・販売にシフトし、今後は販売だけではなくレンタルが求められる時代だと90年設立されたのがミスターリースリーなのだ。
 ミスターリースリーは初年度こそマット・モップのレンタル(ダストコントロール事業)等で月商1000万円を達成したものの、元々が製造・販売会社のため、レンタル営業の力不足、品質の差別化の弱さなどを克服できず、2年目以降は足踏み状態が続いていた。

 そこで、新規事業を考えていた当時の専務取締役が、主力顧客だった遊技場(パチンコ店)がトイレの維持・管理に問題を抱えていることに着眼し、その専門会社のフランチャイズ(FC)として『アメニティネットワーク』(本部・アメニティ、本社・神奈川県横浜市、山戸里志社長)を見つけたという。

 ミスターリースリー総務・経理部長の西祐一郎氏は、「契約の決め手となったのは、ダスコン事業と同じ“繰り返しお客様を訪問する事業”だったこと。
 一度売ったらお仕舞の商売は熊本では続かない。そして、同じお客様相手に専門性の高いサービスを上乗せして提案でき、売上増に繋がる点が魅力だったと聞いている」と話す。

 しかし、西は「トイレをキレイにする商売と理解はしていたものの、臭いの発生源や専門知識、技術の習得、本部のトイレに対する情熱に驚いたようだ」と苦笑交じりに話すのだった。

                                  (つづく)

『FRANJA』(フランジャ)75号掲載 2013年7月15日発行

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