天職!トイレにかける物語
No.10 神奈川県横浜市/システムアメニティ(下)

 アメニティの創業以来、フランチャイズ(FC)本部のスーパーバイザーとして
約70の加盟企業の開業支援に携わってきた横田岩太郎(システムアメニティ社長)だっ

たが、脱サラからの独立は初めてのこと。1994年7月に、アメニティ本部とFC契約
を締結して起業したのだった。
横田はアメニティビジネスと出会ったのだ。

 アメニティ社長の山戸里志は、創業メンバーの横田の退職は寂しい反面、「アメニティ
ネットワーク」での独立は何よりの喜び。そこで、独立開業のはなむけに、アメニティの
ロゴ入り車両1台と、月額約80万円のサービス代行を委託した。

 とはいえ、開業資金を親戚から借り入れ、自宅の一室を事業所とするスタート。加えて
山戸からの期待、指導する側から一転、他のFC店と同じ立ち位置になり、周囲からのプ
レッシャーもある中で、横田はがむしゃらに新規轍客開拓の営業に歩いた。
 初の営業は、真夏の炎天下だった。「営業先を選んではいけない」という山戸の教えに
従い、軒並み飛び込んでは断られ、太陽が傾きかけた150件目の営業先で成約。忘れら
れない初顧客について「1件のお客様の大切さが身に泌みた」と横田は述懐する。この初
契約先は、19期を迎えた現在も継続して取り引きがあるという。

 初年度の売上高は3000万円強、4年目で5000万円、8年目には1億3千万円と
順調に成長。
 しかし、直後に大型取引先からの契約キャンセルがあり、追い打ちをかけるように、
03年に顧客先での漏水事故が原因で訴訟問題にまで発展、一度は会社存続の危機も味わ
った。

 システムアメニティが損害賠償を支払う解決だったが、これは横田にとっても、本部に
とっても、さらなる成長のための教訓となる出来事だった。なぜなら、人材育成で頭を悩
ませる経営者が多い中で、難局を共に乗り越えたシステムアメニティの従業員との結束は
固い。
 現在、年間売上高は約7000万円まで回復し、今後は、さらに新規採用を進めたいと
意欲的だ。

 創業当初に思い描いた以上の発展をみせるアメニティネットワークに、「FCは、人と
人とのつながり」と、加盟店仲間の若手経営者らにアドバイスする横田がいる。

                                   (つづく)

『FRANJA』(フランジャ)70号掲載 2012年8月15日発行

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