システムアメニティ社長の横田岩太郎は、1988年にある人の紹介で東陽商会に34
歳で入社した。
東陽商会は「アメニティネットワーク」のフランチャイズ(FC)本部であるアメニティ
社長の山戸里志が、75年にトイレサービスの専門店として独立・創業した会社。ここで
横田はアメニティビジネスと出会ったのだ。
横田は当時の東陽商会で、既存顧客のルートサービスと新規顧客開拓の営業に従事して
いた。現在のアメニティのトイレサービスの原型となる予防型メンテナンスの視点で商品
開発、サービス開発が行われていた真っ最中で、当時16人ほどいた社員は、皆、トイレ
ビジネスの将来性に魅力を感じ、目を輝かして働いていたという。
その中でも、横田は“山戸直伝”で営業マンとして鍛えられた人物で、入社1年後に
は、営業部長に就任するまでになっていた。
当時、ビジネスモデルとして存在しなかった新たな「トイレ専門のメンテナンスビジネ
ス」に確かな手応えを感じていた山戸は、次なる構想に着手していた。それがトイレビジ
ネスのFC展開だったのだ。そうして89年、FC本部となるアメニティが設立されたわ
けだ。
山戸は創業メンバーとして、東陽商会から横田など3人の社員を抜擢してFC展開をス
タートさせた。当然、世の中に認知されていないビジネスで簡単に加盟希望者が集まるわ
けもなく、横田は山戸と共に、FC店の開拓に全国行脚に出たのである。FC拠点を開設
したいエリアに行っては加盟が見込まれそうな企業を電話帳からピックアップして一件、
一件、訪問して歩いたという。
そしてFC加盟後の開業研修、同行営業なども横田が担当。スーパーバイザーとして、
まさに全国を駆け回る日が続いた。「加盟者からは営業に関してはもちろん、個人的な相
談まで受けることも多かった」と、横田は当時を振り返る。
加盟店の数も徐々に増え、アメニティのトイレビジネスを指導する喜びを感じる一方
で、若い頃から思い描いていた“起業”への想いが、徐々に横田の頭を大きくもたげて来
てもいた。
「起業するならアメニティネットワークで」と、心に決めていた横田は、山戸に自らの独
立の相談を持ちかけたのだった。アメニティの設立から5年後、94年のことだった。
(つづく)
|