天職!トイレにかける物語
No.04 京都府京都市/スマイル(下)

 独立を決意した時に、「トイレに関するビジネスをしてみたい!」と、既に思いのあった近藤明(スマイル社長)にとって、トイレの診断管理のビジネスを展開するアメニティとの出会いは必然といってもいい。

 加盟金200万円、保証金100万円の開業資金は、貯金・退職金の全てを注ぎ込み、足りない資金は国民政策金融公庫からの借入金で調達した。

 商社勤務時代に営業マン、その後の菓子小売業では店舗運営の経験はあるものの、トイレのビジネスについての知識は皆無。しかも、アメニティのトイレビジネスは無店舗型スタイルのため、顧客を開拓するためには飛び込み営業をして歩かねばならない。まさに「ゼロからのスタート」だった。

 神奈川県横浜市にあるアメニティの本部で5日間の基本的なトイレに関する知識と技術の開業研修を受けた後、開業地の京都で、アメニティ本部からの営業指導を受けながら、一軒一軒、お客様を訪問する日々が始まった。最初に契約に至ったお客様は、なんと小学校。初めて売り上げにつながったお客様のトイレメンテナンスは今でも忘れられないという。

 「苦労を感じたことはない」と開業当時を回想する近藤だが、黒字経営になるまでには不安もあった。経常利益で黒字化を達成したのは、開業2年目の2002年のことで、その時点で事務所も自宅から移転した。

 「周囲の支援があってこそ」という近藤だが『アメニティネットワーク』の加盟店の中でも、京都エリアは加盟店同士の交流も活発で、地元京都を盛り上げていこうという結束が固い。近隣加盟店からの支援や応援は、開業直後の近藤にとって心強かったに違いない。

 売上高は初年度は500万円、2年目が1200万円、3年目で3000万円と順調に推移。開業3年目には、近藤の商社時代の同僚が社員として入社してくれ、現在も近藤の片腕としてスマイルを支えている。
 その後も、有限会社から株式会社への組織変更や資本の増強など、着実に基盤を固めてきた。

 次なる飛躍をめざす近藤の目下の課題は「社員の増強」だ。12期目を迎えた今年度、初の新卒採用も実現した。独立を夢見たあの日から、今や経営者としてスマイルの成長を思い描くまでにステップアップした近藤の挑戦は、これからも続く。

『FRANJA』(フランジャ)64号掲載 2011年8月15日発行

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