天職!トイレにかける物語
No.01 兵庫県神戸市/メディスポ(上)

 四国は香川県高松市浄化槽維持管理業を主業とするフレイン(三日月善夫社長)。
 当時、フレインが本土進出を目指して、新規に医療廃棄物処理事業を行おうと立ち上げ
たのがメディスポ(兵庫県神戸市)だった。社命を受けて、常務取締役の寒川奉訓の「本
土決戦」の火蓋は切られた。

しかし、蓋を開けてみれば医療廃棄事業は法的規制や許認可問題などが煩雑で、新規参入
が容易ではない業界。そこで寒川は有望な新規事業を併行してでも立ち上げなければと考
え始めた。
 その矢先、アメニティの主力製品である尿石防止剤「ピピダリア」の薬剤メーカーであ
る、無臭元工業の代理店営業担当者から紹介されたのが、アメニティのフランチャイズ
(FC)ビジネスだった。

「資料を請求したら、突然、山戸(里志)社長がピピダリアをポケットに入れて高松に現
れた(笑)。ここで会ったが百年目。すっかり、山戸社長のペースに乗せられてしまった
。」と笑いながら話す寒川。
 決定打はアメニティとメディスポの事業理念が合致していることであり、何より山戸の
人柄や志に感銘を受けたことだという。

 1992年9月にFC加盟。親会社からの出向社員1名と寒川で一週間の開業前研修を
受けた後に、神戸で採用した社員2名の合計4名で営業
活動をスタートさせた。
 地の利のない神戸、しかも営業経験があるのは寒川のみという素人集団。
 見かねた本部側も当時は社員数名という状況だったが、山戸や本部社員がメディスポを
日参しては営業支援をする日々。開業から2年目には、本部からの出向という形で社員
(現・アメニティ専務山戸伸孝)も送り込まれた。

 初年度の93年8月決算は、正味8ヵ月の稼動期間だったものの顧客件数は80件、
売上高で1200万円。2期目には、顧客件数200件、売上高で3700万円と、順調
に業績を伸ばしていった。

草創期のアメニティビジネスにとって、寒川からの前向きな提案はありがたい味方。まさ
に本部と二人三脚で今のアメニティのトイレサービスを作り上げてきたのがメディスポと
いっても過言ではないだろう。
 そして、寒川が"勝負の年"と社運を懸けた3期目。好調に業績を伸ばしていた矢先95
年1月17日に、あの悪夢のような阪神・淡路大震災が発生した。
                                   (つづく)

『FRANJA』(フランジャ)61号掲載 2011年1月15日発行

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