御手洗銀三のトイレコロジー
No.49 世界不況の糞ったれ!

 11月15日、アメリカ・ワシントンで、日米欧と中国・インドなどの新興国を加えた20の国と地域「G20」の首脳が集まり、金融危機への対応策を話し合う緊急の金融サミットが開催された。実体経済を無視してきたマネーゲームの終焉である。

 汗を流して働く者にとって 「頭で稼ぐ人々」を羨ましく思ったこともないではないが、彼らが求めたものは、所詮、砂上の楼閣だった。
 残念ながら、その影響はマネーゲームにうつつを抜かした当事者だけではなく、実体経済にも影響を及ぼしている。誰もかれも「景気悪化、底なしの大不況」と大合唱である。

  「戦争のない平和な21世紀」と、誰もが思い描き、また、強き願いでもあったのだが、地球上のあらゆる場所で平和が脅かされている。
 また、米国のサブプライムローン問題を皮切りに、リーマンブラザーズの破綻、米ゼネラル・モーターズの経営難といったアメリカからの不安なニュースには枚挙に暇がない状態だ。
 「人」「モノ」「金」は、企業の3要素と教えられたが、今は 「人」「モノ」を捨てて「マネー(金)」だけに走り回った金融のなれの果てが、2008年の総決算だったのだろう。
 とはいえ、我々も、「マイッター」と万歳するわけにはいかない。本来の「人づくり」「モノづくり」にもっと工夫を凝らそうではないか。お金は、そのための運用資金と、社会に還元するための少しの利益でいい。

 日本でのバブル崩壊の時期もそうであったが、世界不況といわれる今も、改めて、我々のトイレビジネスの方向は正しかったことが認識できた。
 底なしの不景気というが、昔、トイレには底なしの便所″があった。汲み取りの手間を省くために、糞溜めの底を抜いておいたのである。当然、地中に大小便汁が渉み込んで、土壌を不潔にし、地下水を危険にしたのである。外へ滲み出さないということが、汲み取り便所の原則であったのに、それを破ったのである。

 「元々ありもしなかったマネーを底なし金庫に入れ続けた現代の金融屋」と、「俺ぐらいやっても分かりはしない……と糞溜めの底を抜いた不埓もの」と、何ら変わることはない。こういう奴を、我々庶民は 「糞ったれ!」と呼ぶのだ。
 待てよ!いっそのこと底のついた糞溜めに彼等の金を入れてみようか。金(糞)粉ができるかもしれない。

『FRANJA』(フランジャ)49号掲載 2009年1月15日発行

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