御手洗銀三のトイレコロジー
No.46 同文同種同雲古!

 今、中国は四川大地震によって大きな被災をこうむっている。早期の復興を願ってやまないが、ゴールデンウィークの終盤、中国の胡錦濤国家主席が来日した。日中首脳会談では、未来志向で戦略的互恵関係の強化が確認され、「日中平和友好条約」 の締結三十年を記念する年の大イベントともなった。

 両国間には、凍支那海ガス田、冷凍餃子事件、チベット問題等の諸々の課題はあるが、共に、手を携えて進もうという両国の意志が確認でき、結果はGO!である。
 日本と中国は、「同文同種」、「一衣帯水」の例えがあるように、日本の文化は、かつて、中国から学んで築き上げられてきた。そして、今度は今の新しい日本の文化が中国に渡り、新たな国造りに役に立つことを、日本人なら喜ぶべきである。

 以下は、日本トイレ協会の会長でもあった元慶應義塾大学の名誉教授、西岡秀雄先生から聞いた話である。 南方の戦地で、日本軍は戦況が悪化し始め、空爆を避けるために、いくつかの分隊になって、山間僻地に身を隠した。その時、兵隊達は決められた場所に穴を掘り、そこを便所とした。密かに上陸した米軍の斥候は、それを見て『日本軍は相当数の勢力である』と本隊に報告した。それは、日本人が排泄した雲古の量からはじき出した日本兵の数であった。
 肉食中心のアメリカ人のUNNKOの排泄量は一人当たり三百グラムだったのに対し、当時、穀物中心の食生活をしていた日本人は、一人当たり排泄する雲古の量は七百グラムだったのだ。
 米軍のスパイは、日本兵の想定数を実際の二倍以上の数で報告書を書いたのである。その間違いによって、米軍は予定の二倍以上の上陸部隊で攻め込み、あっという間に日本軍を降伏させた、というものだ。
 この話は、近代兵器の量を競った戦争でも、便所が情報戦には大事な対象となっていたことを、興味を深く聞かせていただいたものである。

 欧米の文化と日本の文化の差異は、食文化のみならず、排泄にも大きな差があったのである。 これに対し、やはり「同文同種」の日本人と中国人には、これほどの差はないだろう。 日米が仲良くでき、日中が仲良くできないわけがない。
 早期の環境問題・民族間題の解決と、四川大地震の被災地・被災者の一日も早い復興を祈ってやまない。

『FRANJA』(フランジャ)46号掲載 2008年7月15日発行

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