御手洗銀三のトイレコロジー
No.44 環境問題は「RE」の時代

 今年は京都議定書の約束期間がスタートし、七月には地球温暖化対策が主要テーマの「北海道洞爺湖サミット」が開催される。今や国際的な共通目標になったのが環境問題である。

 リユース(再使用)、リデュース(発生抑制)、リサイクル(再資源化)の「3RE運動」もようやく一般に受け入れられてきたように感じる。
 想えば我が社も十年以上前に起こした3RE運動がすっかり定着した。4K(臭い、汚い、恐い、暗い)問題に悩むトイレの改善にリピート(定期診断)、リフレッシュ(定期洗浄)、リニューアル(定期改善改装)を3RE運動としたからである。
 適切な日常メンテナンスを施し、環境にやさしい薬剤でニオイや汚れを予防する仕組みにすれば、汚れを落とすための強い薬剤で水を汚染したり、設備機器に負荷をかけずに済む。

 文明社会以前には、トイレの排泄物は農作物の肥やしとなり、しっかりと「RE」を行い、自然との共存を図っていた。だからこそ、少しでも自然との共存を考えていきたいというのが、我が社の3RE運動の軸にある。
 地味な運動ではあったが、今では、建物施設の管理者にも着実に3REメンテナンスの重要さが定着してきた。それまでは、メンテナンスフリーという言葉が流行し、使っても汚しても絶対に汚れないトイレができると妄信されたものだった。

 かのサミットでは、是非とも確固たる成果を残してもらいたい。毎年、報道される地球温暖化による異常現象の数々を見ていると、一刻の猶予もないはずだ。それぞれに国の事情はあるだろうが、今のこの状況は、国の未来以前に、地球の未来が危ういのだから。

 明治時代、『高能率便所』があったと聞いたことがある。狭い便所のスペースに大便器を二器並べ、二人一緒に用を足す。当然、明治時代のことだから、汲み取り式の「RE」の便所だ。ここでは尻を出し、臭い仲となって腹の中をさらけ出し、高能率的に便所談議が出来たそうだ。
 いっそのこと、サミットにこの高能率便所を持ち込もうか。「RE」の便所で尻寄せあって話してもらえば、きっと妙案が出てくるにちがいない。これこそ、地球の平和と環境を語る「おしりあいサミット」だ。

『FRANJA』(フランジャ)44号掲載 2008年3月15日発行

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