御手洗銀三のトイレコロジー
No.41 自治体の赤字解消策

 先日、出張で北海道を訪ね、久しぶりに夕張メロンを食した。これが実に美味い!こんなにおいしいものを生産する産地が何故、赤字に苦しむのか。しかも、夕張市のような自治体は全国に数え切れないほどあるという。

 与党の公約の一つに、経済発展を促して税収を増やす、とある。政府が税収だけに頼るという今の手法は本当のことだろうか?何故、政府自らが稼いで国を豊かにしようと考えないのかと不思議でならない。
 公的機関は利益を上げてはいけないと聞くが、これは問題である。そんなことだから、役人は目いっぱい金を使うことだけに集中するのだ。
 それよりも、利益を上げた公的機関には、税収増に貢献したということで、どんどん前向きな予算をつければいい。逆に赤字を出したら、予算の縮小は当然である。我々、民間企業は収益を上げるために、血の滲むような努力を続けているのだから。

 宮崎県の東国原知事が、日本中、いや韓国にも出向いて宮崎の営業活動をやっているように、自治体の首長は優秀な営業マンから選ぶべきではないか。
 例えば夕張メロンを市長が出稼ぎで売って歩く。市長が陣頭指揮に立てば、職員も住民も真剣になるはずだ。

 明治二十二年、水の都の大阪市では市制施行後、初の第一回市議会で「し尿処理事業は大阪市営にすべし」という建議案が出されたそうである。当時、大阪市民四十万人の排泄物の再利用に目をつけて、これを肥料として近郊農村に売却すれば、一年間に下糞代四万円、さらに小便代四万円の計八万円が市の財政増に貢献すると考えたのだ。
 そこで、市はこの八万円で公債を買い、二十年の積立預金をなし、これを市の基本財産にして、二十年以内に港湾開業、水道敷設の工事など大事業の基礎とするというものだったらしい。
 残念ながら、実現には至らなかったようだが、トイレの水洗化が進んでいる今、し尿処理事業で財源を得るのは難しいだろう。しかし、増税を叫ぶ前に、当時の大阪市の役人たちに思いを馳せて、トイレで踏ん張って知恵を絞ってはどうか。

 「親方日の丸」から、「オールジャパンコーポレーション」としてスタートする時期にきている。

『FRANJA』(フランジャ)41号掲載 2007年8月15日発行

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