御手洗銀三のトイレコロジー
No.37 可愛い子供には「何糞」と命名!

 毎日、毎日、学校でのいじめ問題が報じられる。しかも、少年、少女達の自殺という痛ましさが伴っている……。
確かに、子供達にとって学内でのコミュニケーションは、人生そのものである。そのような世界で「いじめ」を受け、救いを求めて誰かに(先生)に相談すれば「チクッタ!」と悪循環が重なっていく。

 といって、学校の外には競争社会の申し子的存在の「学習塾」が控えている。ここで学友以上の友人を見つけるのはそう簡単ではない。こうした環境の中ではいじめる側も、いじめられる側も同じ問題を抱えている。
 頼みの綱の大人も、競争社会に身を投じ、仕事が最優先とばかりに懸命に駆け抜けてきた。そういう世界にいる大人は、なかなか真剣に話を聞いてくれそうにない。心にゆとりのある相談相手とはいえない。悩む子供達をどう激励しようか?と行き詰まっているのはむしろ大人なのだ。

  日本では昔、可愛い子供に「くそ」と名付けた。とトイレ博士として有名な李家正文先生の本にあった。
 子供があまりにも可愛くて、悪霊や鬼に狙われるに違いないと考えて、魔除けにわざと「くそ」を童名として名付けたというのである。

  平安時代の歌人、紀貫之は童名を阿古屎(あこくそ)というし、何をしていたかは定かではないが、「古糞為糞(こぐそためぐそ)」、「糞瓶(くそびん)」等々の名前も残っているそうである。昔も、親は可愛い子供を守るためには、一工夫も二工夫もしたかと思われる。

  未来を託すこれからの子供達に「何糞(なにくそ)」と言う名前をつけようか?これは、大人になってからも大いに使える名前である。
 これも今の大人の出来るわが子への愛情の表現のひとつである。

『FRANJA』(フランジャ)37号掲載 2006年12月15日発行

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