御手洗銀三のトイレコロジー
No.26 津波の被災地に日本から浄化槽の整備を!

 日本語の「津波」がTsunami¥報となって世界を駆け巡った。新年を迎えようとしていた2004年12月26日のスマトラ沖大地震・大津波である。

 この地震の被災地は、インド、インドネシア、スリランカ、タイ、モルディブ、ミャンマー、セーシェル、ソマリアと多国にわたった。これら沿岸地域を破壊した映像は、年が明けて毎日のように送られてきた。大津波は沿岸地域の家屋、道路、橋、給水施設、電力網、農作物、灌漑施設など、何もかもを破壊し尽した。日を追う毎に、その被災状況が明らかになってきたが、その被害の甚大さには目を覆うばかりだ。そして、被災者の膨大な数に、その数が日々増加していくことに、何ともいたたまれない気持ちを抱えている。

 いずれにしても、数百万人の人々が家族やコミュニティから引き離された。この大惨事によるトラウマを軽視することはできない。これから先、史上最大の被災地の復興は、気の遠くなるような時間と頑張りが必要である。

 今、被災地の人々に自分は何が出来るのか。これから何が出来るのか、必要なことは何なのか……。支援を考えていかねばならない。被災地の人々が、今までどおり、いやそれ以上の生活水準に戻れることを願いたい。

 被災状況の把握もままならない中ではあるが、トイレを通して、日本だから出来る支援を提案したい。それは、浄化槽の提供である。下水道が着々と整備されてきている日本では、浄化槽の供給が過剰になっている。しかし、この浄化槽の仕組みについて、日本はハード、ソフト共に世界に比類ない技術と管理能力を持っている。しかも、下水道施設の整備に比べれば少額の投資で済む。この投資に集中的に力を注げば、短期間で被災地の衛生環境の改善につながるだろう。

 自然がもたらした力の前では、なす術もなかった。しかし、人類の知恵と熱い心で災害に屈することなく、被災地の人々の笑顔をできるだけ早く取り戻したい。そして今年こそは平和であることを心から願う。

『FRANJA』(フランジャ)26号掲載 2005年2月15日発売

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