御手洗銀三のトイレコロジー
No.22 「男のトイレ談義」公開座談会は文化論化スカトロジーか!?

 「婦人公論」 (2004年5月22日号) の「井戸端会議」という企画にゲストとして招かれた。司会はコピーライターの糸井重里氏 (T)。ゲストは大田区立郷土博物館学芸員の清水久男氏(S) と私(Y)。

 大勢の婦人記者を前に、I「男が便器で ″小″をすると、凄く跳ね返ります。霧状のやつが『え、あんなとこまで』 というくらい、ものすごく飛ぶ。実際に裸でしてみると、素肌にしぶきが当たるからよくわかります。だから男のズボンは、実はものすごく汚れているんです。みんな、言わないで隠してますけど (笑)」。

 Y「まず、小便器におしっこをした時の跳ね返りのしずく。次に、終わりに振る、振ったやつが飛んでいってとんでもないところを汚す、そのときのしずく。そして、終わってズボンにしまう時に残尿が垂れる、その垂れこぼし。つまり、跳ね、振り、垂れの三つのしずくを″男の三悪″と言っています」
 T「うわあ………。男は便利そうでいて、因果なものですねえ」
 S「茨城県の水戸からちょっと入った山の中に、西山荘という水戸黄門の隠居場所が残っています。そこで、水戸光囲公は杉の葉を入れた小便器を使っていました」

 二時間ほどの座談会だったが、遺跡の話から歴史、文化、自然科学、日常生活などまで、トイレの話は際限なく、広がりを見せ、題名通り「汲めども尽きぬトイレの話」となった。

 I 「そういえば、究極の選択で、ウンコとケツの穴、どちらを見られるのが嫌かというのがありました。どっちです!?」。
 S 「ウンコは平気だなあ。ケツの穴はちょっと考えます。自分でもあまり見たことないから」。
 Y 「私も、ケツの穴が小さいと言われるのはいやだし……」。

 こうなると、スカトロジー談義に近いか!?。いやいや、これも、実のところ、トイレが意外と知られていない、語られていない神秘的空間であるからに違いない。

『FRANJA』(フランジャ)22号掲載 2004年6月15日発売

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