御手洗銀三のトイレコロジー
No.21 人類の叡智が問われる環境時代の生き方

 鳥インフルエンザウイルスが世界中を駆け巡っている。わが国でも、山口県に始まり、京都など近畿地方で大量の鶏が被害に遭い、カラスの死がいにもウイルスが認められた。
狂牛病 (BSE) も然り。ある専門家は 「BSEも、鳥インフルエンザも、人間が作り出した人災」と言っていたが……。

 地球では、人間の生存だけが許されているわけではない。あらゆる生命体が共存し、また、厳しい生存競争を繰り広げてもいる。その中で、人間が営んできたことは、一方的な生存の仕組み作りと、その破壊だったと言える。これからは、本当に自然やあらゆる生命体との共生を考えないと、地球の生活リズム、つまり生態系はどんどん悪化し、人類にとっての災いとなるような現象が起きてくるに違いない。

 まさに、グローバルな視点で人類の叡智を結集し、行動しなくてはならない時代を迎えている。
″環境時代″といわれる所以でもある。

 商売柄、わが社のトイレサービスに視点を向けると、環境問題は山積である。

 トイレの4K (臭い・汚い・怖い・暗い) を解消するために、ナフタリンを使用しているのを見れば、
「気管支障害や発ガン性の恐れ」をご指摘するのだが、安価な防臭剤として安易に使用したがる。

 また、「芳香剤で臭いをごまかすよりも、臭いの原因となる尿石予防の仕組み作りが大事です」 と、お話ししても、トイレにかける費用はムダだと考えている。「トイレの環境整備は効果よりも安ければいい。最小限の投資でいい」というわけだ。その結果、ナフタリンの弊害だけにとどまらず、汚れや臭いが発生し、その状況に耐えられずに強い薬剤を使わざるを得ない悪循環に陥つてしまう。これによって、さらに人や環境に悪影響を及ぼすというのに……。

 環境問題は、現代に生活している人間のモノの考え方に原因があると言っても過言ではない。

『FRANJA』(フランジャ)21号掲載 2004年4月15日発売

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