御手洗銀三のトイレコロジー
No.17 ISO取得で得た副産物

 7月初め、我が社がISO14001の認証を受けるに当たって、2次審査が行われた。

 審査官はこれまで様々な企業の審査に携わってきたそうだが、トイレサービス専門会社を担当するのは初めてとのこと。多少の戸惑いはあったようだが、幸いにも当社は厳しい審査にも耐え得る内容に構築できていたそうで、審査官もクロージングミーティングで合格点を与えてくれた。

 何といっても環境方針書に掲げた基本理念が独特だと自負している。

アメニティ事業はトイレ環境の創造的な総合管理を目指すものである。
1.トイレから教育を考える
2.トイレから経済の発展を支える
3.トイレから健康問題に挑戦する
4.トイレから環境を守る

 この審査に至るまで、ここに掲げた理念を元に、環境側面の評価、環境方針の確立、環境マネジメントの規格を整備という作業を繰り返したが、予想以上に頭と時間と体力を消耗する時間だった。環境ISO認証を受ける決断をしてからわずか8ヵ月で認証まで漕ぎ着けたことは、何よりも社員全員の大きな自信につながった。もちろん、環境問題への取り組みは、これからが本格的なスタートではあるが、先ずは、そのスタート台に上ったことに、皆、満面の笑みを浮かべている。

 
今回の副産物は、社内の立場が違えば自ずと起こる″lえ方のすれ違いが無くなったことだ。これこそ、経営のマネジメントで最も求められることであるが、それが自然に達成されたのである。

  こうなれば、日頃のコミュニケーションはもちろんのこと、阿吽の呼吸すら可能になったようだ。しかも、国際的に通用する考え方がベースにあるのだから願ったり適ったりとはこのことだ。

  世の中の片隅で忘れられがちなトイレが、とうとう「環境ISO」で運営されるようになった。可愛い孫が成人したような喜びと共に、改めて企業責任を果たさなければと襟を正す思いである。

『FRANJA』(フランジャ)17号掲載 2003年8月15日発売

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