御手洗銀三のトイレコロジー
No.10 孫よ!宇宙飛行士よ!二十一世紀を駆け抜けろ!

 このところ、毎日のように開くホームページがある。

 別居している息子夫婦に子供が生まれた。「初孫誕生!」以来、毎日、孫の顔写真をホームページに掲載してくれているのである。居ながらにして、孫の今日の顔を見ることができ、若い人の発想に感嘆している。

 正直言って、病院で初めて孫と対面した時は、無事に生まれた安堵感と宇宙人を見るような感覚で、身内というか祖父としての腰が定まっていなかった。しかし、新生児室のベッドで、顔をくしゃくしゃにして泣き、おなかが空いているのか産着の袖に口を当て、懸命に吸っているのを見ると愛しくてたまらなくなる。
「♪何でこんなに可愛いのかよ〜♪」の演歌を実感するジジバカ<Xタートかもしれない。

 ところで、赤ちゃんのトイレといえばオシメだ。広辞苑によると「御湿=おしめ」「御襁褓=おむつ」と書くのだそうで難しい字だ。

 憧れの宇宙飛行士も、「直接密接装具」を使っていた。ハイテクを駆使したロケットだが、
1960年代には、まだトイレはなく、おむつが使われていた。しかし、超エリートの宇宙パイロットには、おむつを使うのは仕方ないが、その名称が許されなかった。そこで、航空宇宙局は「直接密接装具」という名称を考えて、パイロットたちを納得させたのである。

 現在の宇宙船では、地球と同じ気圧が確保できるようになったので、ウンチやおしっこが浮遊することもなくなった。とはいえ、ふわふわしている真空状態の中で、トイレだけが不自然に固定されるのが原因で酔ってしまうそうだ。未だに、直接密接装具は健在だそうである。

 我が家の孫は、直接密接装具を1日に16回取り替えているという話……。

 人間は、生を受けてオムツの世話になり、生涯を終える高齢の時期にもオムツの世話になる。そして科学の粋を極めた宇宙飛行士も例外ではなかった。
 我が家の宇宙人よ、君のおしめには皆の期待がかかっている。二十一世紀を駆け抜けろ!

『FRANJA』(フランジャ)10号掲載 2002年5月15日発売

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